落雷から体はもちろん建物内部の電気機器の被害を防ぐには、合理的で経済的なシステムが必要となります。近年の建築物が急速に高度情報化、複雑化の方向に進んでいる中で、特に安全性を考慮した防災対策への対応、そして地球環境に配慮した省エネルギーの促進等、建築設備設計の重要性がさらに高まっております。
わが国における雷害対策は、残念ながら欧米に比べて遅れているのが実情でありますが、当社の接地システムプランニングは国際規格(IEC)や新JIS A4201:2003との統合性を図りながら落雷被害を最小限に抑えるための雷保護システム(LPS:外部LPS及び内部LPS)です。
比抵抗測定器YOKOGAWA 3244を用い、垂直電気探査(ウエンナーの4電極法)により、大地抵抗率を測定します。この方法により測定した大地抵抗率は総合大地抵抗率であるため、カーブマッチング手法により、地層の多層構造解析を行い、大地電気パラメータを把握します。
この方法により従来の調査ボーリングよりも、費用を大幅に削減できることと、時間的にも数時間程度であるため非常に経済的です。
当社では、数多くの経験とノウハウがあるため、電気的に細かい大地パラメータの把握が可能です。
各種法令を遵守し、用途に応じた目標接地抵抗値を得るため、地形に応じた接地極の形状と施工方法をシュミレートすることにより、施工に掛かる費用や工事期間を事前に見積もることが可能となります。
従来は、やってみなければわからなかったアース(接地)工事を事前に設計・積算できる優れた技術であります。
設計段階では、銅棒や銅線を現地に合わせた最も効率の良い方法により接続し、目標接地抵抗値を得ためのシュミレーションを行なっておりますが、経年劣化や電食を防止する目的で、接地抵抗低減剤を使用する場合があります。
当社で使用する接地抵抗低減剤(SEYアース)はカルシウムとマグネシウムを主成分とし、科学的に非常に安定しているため、地中への溶出や、電解して変化することが無く、無公害でありながらトラブルを防止することができます。(株式会社Dプランニング製)
避雷針が直撃雷を受けて外部雷保護システム(外部LPS)に直撃雷電流が流れると、その強力な磁界が建物内部の電気回路と鎖交し、その鎖交磁束の急激な変化により建物内の電気回路には誘導過電圧が発生し、これを低減する保護手段を講じないと、建物内部に収納された電気・電子機器が障害を受けることになります。直撃雷電流は通常下図1のように分流されます。建物外部より引き込まれてくる電力線や電話線などの電気配線は、一般にB種接地がとられており、建物内部に遠方から零電位を引き込んでおります。電気・電子機器はこの電気配線に接続されていて、かつそれらのケース・カバーはD種接地により建物と同電位となっているためサージ防護デバイス(SPD)による保護が必要であります。また、ケーブル類や配管類をすべて直接、またはSPDを介して等電位ボンディングすることにより、電位差を低減することが可能であります。
図1 雷電流の分流状況